公開:2012.12.3| 更新:
今回紹介するのは新潟市西区にある塩川酒造。約4年ぶりに製造部長の塩川和広氏に話を聞いた。
「もしかしたら以前の取材がきっかけだったのかもしれません」と塩川氏が話すのは、今はなき銘柄「越の関 山廃純米吟醸 原酒」を本誌で紹介した時のこと。
「山廃仕込み(※)を手探りで始めたのが約6年前。取材を受けた当時はやっと味の骨格ができてきていたという段階。それからですね、何だか動き始めたのは」(塩川氏)。
その後、山廃仕込みで仕込んだ酒「願人」を造り、蔵の芯にしようと決めてから、昨年3月に最も大きな出来事が起きた。アメリカで最初の地酒専門店オーナーで、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の審査員でもあるボー・ディムケン氏と会食する機会があった。手土産にと持参した山廃仕込みの味が、ボー氏の琴線に触れたのだという。
「『アメリカで山廃仕込みの酒をすぐに売りたい』と言ってもらったのですが、輸出の手続きなどで長引き、やっと今年4月に輸出が開始されたんです。酒の名はボー氏が命名しました」(塩川氏)。
伝統的な酒造り「山廃仕込み」と、アメリカの象徴である「カウボーイ」に共通点を感じたボー氏が名付けた1本が「COWBOYYAMAHAI 山廃純米吟醸原酒」。コンセプトは「肉に合う日本酒」。存在感のある酸味としっかりとした米のうま味、18・5度というやや高めのアルコール度数が肉の脂をサラリと流す。そして食欲を刺激し、酒に手が伸び…と、一連の流れを生む。
「肉の良さを引き上げる酒」。現代の食生活に適した、面白い酒だ。
(※「山廃仕込み」とは、山卸し廃止酒母、すなわち「山廃酒母」を使用する酒造りのこと。蒸米を櫂(かい)によってすりつぶす「山卸し」という工程を行わず(行うものは「生もと酒母」)、仕込んだ酒を指す。)
(2012年WEEK!10.19号掲載)
◎注目の一本!
COWBOY YAMAHAI 山廃純米吟醸原酒(かうぼーい やまはい やまはいじゅんまいぎんじょうげんしゅ)
180ml/500円、720ml/1,575円
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◎この蔵のスタンダード
越 純米吟醸(こし じゅんまいぎんじょう)
塩川酒造(しおかわしゅぞう)
新潟市西区内野町662
025-262-2039
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