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飲めばたのしい この日本酒

「肉と合わせる」温故知新な山廃仕込み

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今回紹介するのは新潟市西区にある塩川酒造。約4年ぶりに製造部長の塩川和広氏に話を聞いた。

「もしかしたら以前の取材がきっかけだったのかもしれません」と塩川氏が話すのは、今はなき銘柄「越の関 山廃純米吟醸 原酒」を本誌で紹介した時のこと。

「山廃仕込み(※)を手探りで始めたのが約6年前。取材を受けた当時はやっと味の骨格ができてきていたという段階。それからですね、何だか動き始めたのは」(塩川氏)。

その後、山廃仕込みで仕込んだ酒「願人」を造り、蔵の芯にしようと決めてから、昨年3月に最も大きな出来事が起きた。アメリカで最初の地酒専門店オーナーで、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の審査員でもあるボー・ディムケン氏と会食する機会があった。手土産にと持参した山廃仕込みの味が、ボー氏の琴線に触れたのだという。
「『アメリカで山廃仕込みの酒をすぐに売りたい』と言ってもらったのですが、輸出の手続きなどで長引き、やっと今年4月に輸出が開始されたんです。酒の名はボー氏が命名しました」(塩川氏)。

伝統的な酒造り「山廃仕込み」と、アメリカの象徴である「カウボーイ」に共通点を感じたボー氏が名付けた1本が「COWBOYYAMAHAI 山廃純米吟醸原酒」。コンセプトは「肉に合う日本酒」。存在感のある酸味としっかりとした米のうま味、18・5度というやや高めのアルコール度数が肉の脂をサラリと流す。そして食欲を刺激し、酒に手が伸び…と、一連の流れを生む。

「肉の良さを引き上げる酒」。現代の食生活に適した、面白い酒だ。

(※「山廃仕込み」とは、山卸し廃止酒母、すなわち「山廃酒母」を使用する酒造りのこと。蒸米を櫂(かい)によってすりつぶす「山卸し」という工程を行わず(行うものは「生もと酒母」)、仕込んだ酒を指す。)

(2012年WEEK!10.19号掲載)

COWBOY YAMAHAI 山廃純米吟醸原酒(かうぼーい やまはい やまはいじゅんまいぎんじょうげんしゅ)

◎注目の一本!

COWBOY YAMAHAI 山廃純米吟醸原酒(かうぼーい やまはい やまはいじゅんまいぎんじょうげんしゅ)
180ml/500円、720ml/1,575円

コンセプトは「肉に合う日本酒」。精米歩合60%の新潟県産米を使用し、昔ながらの山廃仕込みで仕上げた1本は、奥行きある味わいが魅力。

飲み方/冷や、常温、ぬる燗

山廃ならではの複雑な味わいを楽しむなら、ぬる燗。うま味、酸味のバランスの妙を最も楽しめる。冷やしてライムを搾ると爽やかさが増し、一興。

COWBOY YAMAHAI 越 純米吟醸(こし じゅんまいぎんじょう)

◎この蔵のスタンダード

越 純米吟醸(こし じゅんまいぎんじょう)

300ml/620円、720ml/1,800円、1.8L/3,500円

新潟県内の契約農家で栽培した亀の尾を100%使用した純米吟醸酒。精米歩合は55%、じっくりと長期低温発酵させてゆっくりと広がる米のうま味を持つ酒に仕上げた。

飲み方/冷や、常温、ロック

原酒ならではのどっしりとした飲み応えと、口の中で広がる米のうま味がスッと口の中で切れるこの酒。冷や、常温はもちろん、ロックでも楽しんでもらいたい。

塩川酒造塩川酒造(しおかわしゅぞう)
新潟市西区内野町662
025-262-2039

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