公開:2012.12.3| 更新:
今回は糸魚川市にある猪又酒造を紹介する。
創業は1890年。高さ80メートルといわれる巨岩と、咲き乱れる藤の花が夜空を覆い、美しい月を藤が隠してしまう…。そんな様子から、月の見えない池「月つ きみずのいけ不見の池」と名付けられた蔵近くの名所に、看板銘柄は由来している。
「先代から守り続けているのは、『普通酒こそ良い酒を』ということ。普通酒を飲めば、その蔵の思いが分かります。コストはかかりますが、原料にこだわり、手間をかけて味わいの良いものを、と酒造りに臨んでいます」と話すのは、猪又哲郎代表取締役。
だからこそ、蔵を訪れる人々に猪又氏は、「普通酒 月不見の池」を飲んでもらうよう勧めるのだと話す。
「この酒の精白は60%。ひと口目は、穏やかな印象かもしれませんが、杯を重ねるごとに、五百万石ならではの、米のうま味を感じられるようになる酒です」(猪又氏)。
決して華やかでも、驚くような個性があるわけでもない。
「毎日楽しむための酒と考えると、飲み飽きしない味わいがやはり良いと思います」(猪又氏)。
また、コジマの体験では、多くを一晩で飲んでも、丁寧な造りが生む高い酒質のおかげで、翌日に酒が残るということも少なかった。
「県内出荷の約8割は地元消費」と、猪又氏は話す。
小さな造り酒屋が醸す晩酌酒となれば、地元消費が多くなるのも必然だろう。しかし、ひと口飲めば分かる出来の良さ。もっと多くの人にその味を楽しんでもらいたいと思わせる酒を、じっくりと手をかけて守り続けている。
(2012年WEEK!11.16号掲載)
◎注目の一本!
普通酒 月不見の池(ふつうしゅ つきみずのいけ)
720ml/777円 1.8L/1,837円
□
◎この蔵のスタンダード
純米大吟醸 邂逅 思(じゅんまいだいぎんじょう かいこう おもい)
猪又酒造(いのまたしゅぞう)
糸魚川市新町71-1
025-555-2402
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