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今回紹介するのは越銘醸。蔵のある旧栃尾市は山間部にあり、手つかずの自然が多く残っている。棚田から見る自然は「あぶらげ」同様、この地の名所となっている。その棚田で昔から米作りをしている多田克典氏抜きに、蔵は語れない。多田氏は「合鴨農法、有機栽培でなければ、米作りはやめる」「米は自然とともに作るもの」と、あえて面倒な方法での米作りにこだわってきた。そんな多田氏と共に越銘醸は酒米を作り、「純米大吟醸 越の鶴 壱醸」を醸している。
「『おらが土地の酒』と誇れる酒を醸すには、栃尾の風土で米を作らなければ。同時に、中越地震を境に作り手がいなくなり、荒れ始めていた地元の棚田の風景を守り続けたい。だから、農業未経験者ばかりでしたが、多田氏を米作りの師に仰ぎました」。
こう話すのは、自らも米作りに参加する越銘醸の武藤光則氏。
「面倒でも手間を掛ければ、それは必ず味に帰ってくる。米作りからやれば、その分、より酒の味わいが良くなると思う」(武藤氏)。
最初に醸し始めてから4造り目となる今期の酒造りには、新潟市内のとある飲食店も参加した。ひと口飲んでうまいと感じ、自らの店での取り扱いを開始。蔵を訪れる度に米作りから酒造りまで一貫して蔵人が携わる姿勢を目の当たりにし、自らもその酒に携わってみたいと参加したのだとか。
料理のプロが魅了された酒は、毎年1月に仕込まれる。「今年も雪下ろしを何回かしたよ」(武藤氏)という、雪がもたらす空気浄化も味方に、コクを出すために、じっくりと時間を掛けて低温熟成させ、酒に仕上げる。出荷は年1回。蔵こん身の1本、ぜひ味わってもらいたい。
(2013年WEEK!2.15号掲載)
◎注目の一本!
純米大吟醸 越の鶴 壱醸(じゅんまいだいぎんじょう こしのつる いちじょう)
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◎この蔵のスタンダード
純米吟醸 (じゅんまいぎんじょう こしのつる)
越銘醸(こしめいじょう)
住所/長岡市栃尾大町2-8
電話/0258-52-3667
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